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Seastar's Memorandum

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2007年 03月 15日

Musiq Soulchild/LUVANMUSIQ

Musiq Soulchild/LUVANMUSIQ_b0091578_258234.jpg



ソウルチャイルドが付いたり無くなったり、
ステージネームの変遷ぶりだけ取ればまるで
MCハマーみたいなMusiq君の3年ぶり4枚目。
'00年にDef Soulのスターとしてシンデレラデビューを飾って以来、
ほぼ毎年一枚のペースで出していた彼からすれば、
'05年のレーベルの閉鎖は想定外だったはず。
在籍していたアーティストは彼を除けば全員
メジャー外へ行って地味になっている行く末を見てみれば、
この時間が優しくは無かったのが容易に想像できる。
しかし全リリースがプラチナ・ゴールド認定の実績が買われたのか
アトランティックに見事移籍。

聴く側としてはそのウンダカンダでかなり待たされたので、
この新作は当然辛口の耳で聴くことになる。
でもしかしこれはそんな事を忘れさせてしまう傑作、だと言いたい。

いや、傑作なんて言葉はそう簡単に使うもんじゃないと思っているのだけど、
輪郭がくっきり浮き出た豊潤なメロディ、
ツボを押さえて外さないアレンジ、
リリックの意図を明確に伝える絶妙なコーラス、
そして間違いなく表情豊かに進化している
本人のヴォーカルと、ケチの付けようがないのだから
ここは正面切って美辞礼賛しときたい。

ニーヨが作詞とコーラスで参加した“Miss Philadelphia”は
マーケット的にもニュースなんだろうけど、
癖になるフックが後を引いて思わず何度もリピートしてしまう
中毒性がある。
彼が少し前Joeに書いた“It's On You”にちょっと似てるけど。

De La Soul好きなら誰でもニヤつかずにはいられない
シングル“B.U.D.D.Y.”もツカミとしてクリーンヒット級だし、
彼は(プロデューサーは、とうべきかも)本当に
自分のマーケットが何を望んでいるか熟知しているだなと思う。


他のトラックも適度に流行を取り入れつつ、
フィラデルフィアらしいメロウネスははっきり残していて、
おそらくパーティ三昧よりも家でシコシコするのが好きな筈の
Musiqのスティービーを神にした
ナイーブを通り越して“オタク”と言ってしまいたい類のヴォーカルが
80のストックから選りすぐったとかいうのも納得行く
トラックと噛み合って、他にはない旨味を醸し出している。
ムダなスキットもラッパーも入れず、前作にあった
ストーンズの悪趣味なロック曲のカバーもなく、
全12曲ピンの新曲で揃えたところにも自信のほどが伺える。


Musiqと他の男性R&Bシンガーと比べると、
R.ケリーは卑猥でサグ、ジャヒームは大人でジェントル
ぶってはいるが根っこがサグ、と日本人の肌感覚からは
若干乖離した生き様が売りの二人が今シーンのトップを張っている訳で、
その中で彼はサグ趣味でもエロ王でもなく
必要以上にヒップホップに接近するでもなく、
濃すぎず薄すぎず知性的で、良い意味で中庸であり、
一番黄色人種にも親しみやすい音楽性と言えるかも。

食い物で例えると、ケリーやジャヒームは肉汁したたる
アメリカ牛ステーキで、ミュージックは有機野菜を使った
ローファットのハンバーガー、という感じ。

もちろんケリーもジャヒームもそれぞれに素晴らしさがあるのだけど、
自分に取って彼らは常に聴きたい音楽ではないのだ。

Musiqにはどことなくシンパシーを感じる
歌声と語り口がある、とでも言うか。
別に同年代だから、ってだけじゃなく。

過去にあるインタビューで、「俺はR&BのMCだ」って趣旨のこと
を言っていたけども、それはライフスタイルとか姿勢ではなく、
リリカルな意味でそうだ、っていうことなんだろうと思う。
今回もラブソング一辺倒ではあるけど、言葉選びが興味深いので
シートに向き合う価値はありそう。



ところで、3枚続けてジャケットでヘッドフォンを被っているのは
何かこだわりでもあるのだろうか。

# by seastar_vice | 2007-03-15 03:17 | R&B
2007年 02月 14日

Hannibal Rising

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ついにレクターシリーズ第五弾「ハンニバル・ライジング」
トレーラーが公開。
「レッド・ドラゴン」から、また更に時間軸が前倒しになり
生い立ちから青年期に、若きレクターがいかにして狂気を宿したか、
って話の模様。
公式サイトで見る限りアンソニー・ホプキンスは出ていない様だけど
「ハンニバル」でゲイリー・オールドマンをシークレット扱いした
過去もあるので、そこは開けてのお楽しみかな。








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納得がいかないのは、英語圏では原作本がとっくに発売になっているのに
未だ日本版が出ていないこと。
出せば売れるのは確実なのに、おかしい。
クリアランスが降りないとか、ちょっと考えにくいし。

これほど吠えるのは訳があって、レクターシリーズの原作本は
映画とは全く違う面白さがあるからで、「ハンニバル」なんて
オチも含めてまったく別物、といった方がいい程だから。

映画の日本公開はGWらしいですが、
せめてそのタイミングででも原作本を出して欲しいもんです。










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コン・リーがどう絡んでくるのかが気になります。

# by seastar_vice | 2007-02-14 18:09 | cinema
2007年 02月 12日

Marsha Ambrosius Interview

Marsha Ambrosius Interview_b0091578_14435920.jpg



ごじまんジャーニーではありません。
Truth Hurtsに続くアフターマスの女性R&Bアクト、
マーシャ・アンブロージアスのソロ契約後
レーベルの公式サイトに掲載された初の単独インタビュー
興味とトレーニングを兼ねて超力技で意訳〜
相当強引かつ雑なので、細かい間違いは読み流して貰えればと。

以下筆者拙訳。発言のカッコ内はツッコミ。

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アフターマス・ミュージックはマーシャ・アンブロージアス(Floetry)
の来たるべきソロプロジェクトについて、レーベルとの仕事について
インタビューを行った。
途中に出てくる、彼女の過去やDr.ドレとの出会いのくだりにも
注目して欲しい。




Q: フロエトリーのマーシャをよく知らない人たちのために、
自己紹介してもらえる?



マーシャ(以下M):え〜と、名前はマーシャ・アンブロージアス。
イギリスのリバプールで生まれたんだけど、6歳でロンドンに引っ越したの。
私のキャリアには両親が深く影響してるわ。
ママは熱狂的は音楽ファンで、パパはバスケのコーチでミュージシャンよ。
学生時代、最もバスケが楽しかった頃に怪我してじん帯を切ってしまったの。
あれはストレスだったわ、でもその事が音楽へと結びつけてくれたのよ。
音楽が安らぎの場所にもなったの。



Q: あなたの行動に影響を与えたのは誰?
また音楽的影響は誰から?



M:人生そのものね... 私は親密な家庭で育ち、そして素晴らしい友人がいるわ。
私自身とゴシップの両方について、沢山の経験をしてきたの。
音楽的には、私は運がいいことに多くのジャンルの音楽から影響を受けてるわ。
ウェザー・リポートとクイーン、ラリー・グラハムからスティング、
アレサからメアリー、アース・ウィンド&ファイアとジョデシの
間のすべてからね。



Q: 97年からジル・スコット、ビラル、マイケル・ジャクソン
に曲を提供してソングライターとして活動し始めた訳だけど、
彼らとの仕事はどうだった?




M:97年にPerfect Songs(出版社?)と最初の公式な契約をしたの。
それは今も続いていて、今年で10周年になるわ。
イギリスのラジオで"Is This Real"って呼ばていた私のデモが流れ始めた後、
彼らが私を探し出したのね。
そしてWEAワーナーUK(エンヤとレーベルメイトじゃん...)
とソロ契約をしたの。
でも私にはそのときはアーティストとしてベスト・タイミングだとは
思えなかったから、とにかく曲作りに集中したわ。

それから2000年春にフィラデルフィアに移るまで、
目立ったことは何も起こらなかったの。
フロエトリーのプロジェクトがフィリーのシーンで注目を集めだして、
その当時売り出し中だったプロデューサーたちの目に止まったの。
ア・タッチ・オブ・ジャズは当時6組のプロデュースチームを抱えてて
3つのスタジオを経営してたわ。その頃、「ラッシュアワー2」の
サントラ用にジル・スコットの"Long Walk"のリミックスに
補作とデュエットで参加するチャンスが巡って来たのよ。

ジル・スコットは大好きよ。だから一緒に仕事できた時は
夢が叶った思いだったわ。ビラルはワン&オンリーな声の持ち主よ。
彼は楽器も達者なの。彼がデビューアルバムの仕上げに入っている時に、
運良く仕事するチャンスが巡ってきたわ。
マイケル・ジャクソンはなんて言えばいいのかしら...
彼とスタジオで一緒できた人間は世界でも数少ないの。
私は音楽とボーカル面の両方をマイケル、アンドレ・ハリスと一緒に
プロデュースしたわ。

私はあの曲をまとめなければならなかった..
そんな曲のタイトルが「Butterfiles (飛翔)」だなんて、皮肉よね。
あの曲にはすべてにおいて関わっているわ。
97年にあれのデモを録ったとき、誰が世界一の有名人の関心を惹くなんて
想像できたかしら!考えもしなかったわ。
フロエトリーのデモの一曲としてマイケルの関係者が
あの曲を聴いて、彼に聞かせたら気に入ってもらえて..あとは歴史の通りよ。



Q: あなたはR&Bシーンから強い支持を得ているけど、
その事についてはどう思う?



M:支持してくれるのはいい気持ちだし、本当にうれしいわ。
みんながこのサイトをチェックしてくれるのにも感謝してる。



Q: 自分自身をアーティストとしてどう説明する?
また、どのようにカテゴライズされてきた?



M:アーティストとしては、多くの人たちがそうするように
説明するしかないわ。私はシンガーなの!シンプルに聞こえるけど、
私には最上の賛辞だわ。いつだってシンガーになりたかったんだから。
私がカテゴライズされるのは... みんな色んなことを言うのよね。
私は、喜びや悲しみを心から歌っていると思うわ。
きっとR&B/ヒップホップ/クラシックの棚にフロエトリーの作品は
置かれているのでしょうね。
それから、みんな私がオペラのクラスを取っていたように思うけど、
それは違うのよ。



Q: グラミー賞ノミネート6回、ソウルトレインアワードの受賞6回、NAACP新人賞、
BET殿堂入りセレモニーでのスタンディングオベーションという
キャリアを通して、あなたとナタリーはネオ・ソウルシーンにおける
パイオニアであることを証明し、そしてアフターマスと契約しました。
ドクター・ドレとは最初どのようにして知り合ったの?




M:すばらしい業績を残すと、次の夢をみるのは難しくなるわ。
私はある時、何かフレッシュで予期しない新しいことがあるって事に気付いたの。
2005年11月、ロスのロキシーで同じ日に二回のショウをやったんだけれど、
プリンスとドレが来てるって噂でもちきりだったわ。
勿論準備オーケーだったわよ(笑)意識を失うくらい熱唱したわ。
"Say Yes"を歌った時のことは思い出したくない..バンドがブレイクを入れて、
お客さんは熱狂していた。そして目を開いたら...ドレとプリンスがいたの。
クレイジーだったわ。客はステージに、私はドレとプリンスに熱狂してたのね。

翌日、マネージャーから電話があって
「ソロキャリアに興味はあるか?ドレがアフターマスの新しいベンチャー
について君と会って話したがってる」って言われたの。
電話口で思わす歌ったわ「♪シュビドゥビ〜」そう、ルーサーよ。
私のテーマソングなの。(ちょっとうざス..)
多分その時泣いてたと思うわ(笑)
「Hell Yeah!クロニック号に乗れる!」

その日の晩のショウの後、彼に会ったの。一通り話した後、
いくつかトラックを聴かせてくれたんだけど、
そのうちの一曲が抜きん出てて、私その場で10分くらいでリリックを書いたわ。
ドレもその時のことは覚えてるはずよ。
私、すぐレコーディングしたいって言ったわ。そしてその日のうちに仕上げたの。
もしかしたらあのセッションが1stシングルになるかも知れない。
クレイジーだったわ。私がブースにいる時に50セントがふらっと
現れたの。まるでテレビでも見てるみたいだった。
でも、起こるべくして起こったことだったのね。



Q: 正式な契約はいつ?


M:2006年の末ね。もちろんビジネス的な処理が先に必要だったんだけれど、
レコーディングを後回しにすることは出来なかったわ。



Q: 契約に関してはどう思う?またどんな内容なのか教えてくれる?


M:興奮してるわ。でもこのディールはまだ機が熟したとは言えないわ。
私自身、今までと違う環境に身を置くことが必要で、
そうすることがベストだと思うのよ。(内容についてはうまい事かわしてる)



Q: アフターマスとのソロ契約だけが興奮してる理由?
つまり、多くの人たちがあなたを未来のR&Bスターだと言ってるってことなんだけど。
こういう評価はプレッシャーに感じる?



M:未来のR&Bスター、マーシャ・アンブロージアス..そう認知されること事態、
業績だといえるわ。みんながそういうコメントしてくれてるのは、
プロジェクトに期待してくれているってことだし、私が願ってきたことでもあるのよ。



Q: アフターマスのアーティストたちと会うことはある?


M:サインする前にほとんどのアーティストと会ったわ。エミネム以外はね。
でも、ある日レコーディングした曲の風変わりなパートにどうしても彼のラップを
入れたかったの...そしてそれは実現したわ。



Q: バスタ、ザ・ゲーム、ハイ・テックのトラックに客演しているけど、
アフターマスからのあなたのアルバムはいつ頃になりそう?




M:2007年末だって言ってるわ。自分にもそう言ってんのよ(笑)
実現させるために必死で働いてる。でも、リリースされる時は
ベストなタイミングであるべきだし、
だからこそ、出すならばそこを正しく見据えきゃいけないのよ。



Q: アルバムにはどんなプロデューサーやゲストが入るの?


M:私が参加してるわよ(笑)、新しく、さらに熟練した私がね。
教えたいのはやまやまなんだけど、ジンクスにはもううんざりなのよ。
確かな出来のものだけを入れたいから、全部を収録することは無理でしょうね。



Q: 何曲レコーディングしたの?


M:大体いまで30曲くらいかしら...それらを12曲に絞ろうと思ってるわ。
ソロ以外のストックが15〜20曲くらいあるんだけど、みんなこのプロジェクトには
ふさわしくないって言うわ。でもアフターマスのためにもっと頑張らないとね。



Q: 作曲のプロセスについて少し話してくれる?


M:トラックが気に入ったら、曲はすぐ出来るの。もうすでにそこにあるみたいにね。
バックグラウンド・ハーモニーが聞こえて...コンセプトが出来て...
私誰と話してるのかしら?(結構イッてます)
エンジニアのみんなが私を変だって言うのよ。いい意味でね(笑)
曲が完成するプロセスは、なんだか魔法みたいなのよ。



Q: ほかのR&Bアーティストとあなたを区別するものがあるしたら、何?


M:私には本当に持続力があるのよ。(笑)
私の話は変わっているし、そこに美しさや個性があるの。
あなただけが最高のあなたになれるの(アンタ江原か?)
これはたとえじゃないのよ。



Q: アフターマスからは今年どのアルバムが出るの?



M:私のアルバム以外にってこと?(笑) 
私もみんなも期待している「Detox」は9月かしらね。



Q: ドレの「Detox」には参加してるの?



M:いずれ分かるわよ。(思わせぶりなキャラ!)



Q: 彼との仕事はどんな感じ?


M:ドレは音楽についてすばらしい耳を持ってるわ。
彼のサウンドはとても厳格で、私たちがクリエイティブに結びついたときに
何が起こるかなんて、分からないの。
私は彼の生徒に過ぎないわ。
ドレから学ぶことは多いの。彼と仕事することで自分自身の多くの面を
発見できたの。グレートなことよ。



Q: 他に進行中のプロジェクトや、何か知らせることはある?


M:いくつかのプロジェクトで作曲してるわ。
でもきちんとしたクレジットを確認できるまで、いいたくないの。
このことが理解できるまでは、厳しい道のりだったわ。



Q: あなたのCDチェンジャーにはどんなタイプの音楽が入ってるの?


M:たくさんのサントラとスコアを聴いてるわ。「ビートルジュース」、
「チャリーブラウンのクリスマス」、「スーパーマン」...私自身のトラックもね。



Q: 音楽業界にいて後悔したことはある?


M:自分の時間が限られていることと、誰にでも笑顔ではいられないことかな。
もしかしたら私は人妻で子どもと犬に囲まれていたかもしれない。(←小坂明子?)
でも私は自分で人生について決断し、誇りも持っているわ。
機が熟すときは来ると。



Q: 総合的に見て、音楽業界で女性であることについてどう思う?


M:この業界にいる女性たちには多大な敬意を払っているわ。
犠牲、困難、それもゲームの一部に過ぎないの。私たちにはもっと力が必要ね。



Q: この業界にいることで得た最も価値ある教訓は何?

M:約束には意味がない、ということ。



Q: インタビューありがとう、マーシャ。

M:Much luv!

# by seastar_vice | 2007-02-12 13:44 | R&B